お姫様抱っこ
ますます激しさをますCFCと日興連の戦闘に、ヴィスキオ一味はなかなかトシマを脱出できずにいた。
「お、お前たち!なんとかしておくれ〜〜」
「あァ?」
「んあー?」
目の前の兵士をあらかた片付けたと思った矢先、喚き声はするのだがアルビトロの姿が見えない。
声は近くから聞こえているのでそう離れてはいないハズだが…
「パパァ〜〜〜?どこぉ〜〜?」
「ついに殺られちまったかァ?」
「下だ!し、た!」
グンジとキリヲががそろって視線を地面に降ろすとアルビトロが足首を押さえてうずくまっていた。
「オイオイ、何のんびりしてんだ。早く立てよォ…」
「こ、転んだ拍子に捻ってしまったようだ…」
「ヒャハ!パパだっせぇ!」
「笑い事ではない!歩けないんだぞ!!…ヒィっ!」
近くで銃撃戦が始まったらしく流れ弾がアルビトロの足先を掠めた。
「ヒィィィィ!お、お前たち!早くなんとかしたまえ!」
今にも漏らさんばかりの表情でアルビトロが地面を這ってキリヲとグンジに縋り付く。
「ヒヨ…お前おぶってやれやァ」
「うげー何で俺があ」
「お前道わかんねえだろうが。先頭にビトロしょって立てねェだろ?」
「チッ、しょうがねえな」
グンジがくるりと背を向け、しゃがむと振り返ってアルビトロを呼ぶ。
「ほらパパ乗れよー」
「嫌だ!」
「あん?」
「もし背後を狙われたらどうするのだね!空から爆弾が落ちてくるかもしれないし…」
「あー?」
「『西部戦線異常なし』でもそうやって死んでいた奴がいただろう!不吉だ!!」
わめき立てるアルビトロにグンジが溜息をつく。
「じゃーどーすりゃいいんだよ…」
「こうすればいいのだよ」
再び地面を這ってアルビトロはグンジの前に回りこむと両手を肩にかけて脚をグンジの膝に掛ける。
まさにその姿はメルヘンのお姫様が王子に抱かれるポーズである。
「さあ出発したまえ!早く早く!」
「…」
「クク…すげぇカップルだなァ…」
「うっせえよジジイ!」
なんとなく嬉しそうなアルビトロを抱きかかえながらトシマを脱出するハメになるグンジだった。
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