※dirty dog1の続きの別バージョンです。
「グンジ…?ああ有名だよ。アイツはクラブの地下でやってた賭試合の最年少チャンプだったからな。向かうとこ敵無し!連戦連勝!問答無用にどつきまわす生意気なガキだったぜ」
「最近はヤクザのお偉方に気に入られたとかでそこに行ってるみてぇだな。派手でチャラけた野郎だったから金に目が眩んだんじゃねえの?」
「もともとイカれてるけど今はかなり末期のシャブ中らしいぜ…噂ではあそこの組の誰かがシャブ漬けにして自分専用にしちまったらしいけどな、ほんとのとこはわかんねえ」
以上がトシマのバーで人相の悪い奴らを選りすぐり、酒を奢ってキリヲが聞き出したグンジの情報だった。
「散々だなァ…」
ふーっ、と煙草の煙を吐き出すと、キリヲはグンジが毎日のように現れているというクラブに向かった。
黒のニットキャップを目深に被る。
あの会合以来すっかりトシマの連中とヴィスキオは険悪で、ヴィスキオの幹部である自分が目立つと何かとやっかいだ。
裏口から侵入しようと店の裏に回ると、壁に手を付いて溝に嘔吐している派手な男がいた。
金髪に赤いスカジャンの背中。
筋肉が付いているわりに細い長身を二つに折って、何度も何度も咳き込みながら胃液を吐き出している。
タンクトップから覗くタトゥーの首筋、間違いなくグンジだ。
「……あぁ?何見てんだぁ?」
顎は唾液に濡れ、上着を軽く吐瀉物で汚したままグンジはキリヲを睨み上げる。
「うっぷ…」
こみ上げてくる吐き気によりもう一度溝に向かって嘔吐すると、何かを探すようにポケットに両手を突っ込んでまさぐった。
「ち…」
目当てのものは無かったようでポケットから手を出すと地面にツバを吐吐く。
しかし再びキリヲをジロジロと眺めると、急に人懐っこい笑みを浮かべてキリヲに向かって近づいてきた。
「つーか、おにーさんクスリ持ってねぇ?うっかりキらしちまってさぁー…金なら払うしぃ」
キリヲのいで立ちから売人と間違えたのか、ポケットからくしゃくしゃになった紙幣を取り出すとキリヲに向かって差し出す。
「悪ぃけど持ってねえなァ」
「ンだよ!じゃあとっとと消えろ」
グンジはイライラしながら金をしまうとクラブに戻ろうと背中を向けた。
「…けどよォ、もっといいモン持ってるぜ」
キリヲはタバコを捨てニットキャップを外すとニヤリと笑った。
振り返ったグンジが驚いたように一瞬目を見開くが、すぐに嬉しそうに細められる。
「ヴィスキオがトシマで何やってるんだっつー…この前の続き…イッとく?」
典型的なムエタイ型の構えを取ると軽くフットワークを踏んだ。
しかし動きには冴えが無く、格闘技賭博で人気を誇ったらしい過去のグンジとはとうてい結びつきそうも無い。
「止めとけ…お前フラフラじゃねェか」
「うっせぇんだよ!」
全く応じようとしないキリヲにイラついたグンジはその顔面に左のストレートを放つ。
「ぐっ!」
前回のような寸止めではなくキリヲの右頬から顎にかけてヒットする。
そのままステップを踏みキリヲの脇腹に向かって右足で蹴りを放ったが、鈍い金属音が響くとグンジが声にならない悲鳴を上げた。
「〜〜〜〜〜〜っ!!」
「…っとにに馬鹿だよなァ。脳ミソまでヤクに浸かっちまってんのか?パンチも甘えしよ…」
するりと服の下から鉄板を取り出すキリヲにグンジが右足を押さえながら涙目で睨み上げる。
「まァ、とりあえず一発貰ったからな。お返しだ」
足を押さえうずくまっているグンジの顔を殴り飛ばし、気絶させる。
キリヲはポケットから携帯電話を取り出すとリダイヤルボタンを押した。
「おォ、俺だ。こっちに一台回せ」
目立たないところに待機させている仲間にそう告げ電話を切る。
キリヲはグンジを抱え上げると、すぐにやってきた黒いワゴン車に乗り込んだ。
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