背中あ・わ・せ
「…………」
薄暗い部屋の中、仮面を被った男がフルフルと震えている。
足元のヘルスメーターは、彼にとって有り得ない、有ってはならない数値を指していた…。
ー次の日の朝ー
「なんで俺らがラジオ体操しなくちゃなんない訳え?ありえねー」
「充分運動は足りてるってなァ…」
文句を言う処刑人を中心にアルビトロの屋敷の庭はジャージやスウェットの動きやすい服を着たヴィスキオのメンバーで溢れかえっている。
「やぁ、皆おはよう。今日はいい天気だな。
朝日を受け狗の髪が輝いて…とても美しいとは思わないかね?」
上下白いジャージ姿のアルビトロが狗を連れてにこやかに現れた。
部下が用意したラジカセのスイッチを入れるとラジオ体操の軽やかなBGMが響き出す。
「ざけんなよー、タルくてやってられっか」
「……ふごー」
ヤンキー座りでサボるグンジと地面に転がり寝ているキリヲの周りではジャージ仮面達がせっせと身体を動かしている。
初めのうちはにこやかだったアルビトロだったのだが…
「お前達!何をしているのかね!!!
きちんと身体を動かさないと筋がだんれつしたり
アキレス腱がだんれつして大変なことになるのだよっ!」
「ハァ?しらねーよ」
「んごー」
喚き散らすアルビトロを尻目にキリヲはまだ眠っている。
「きいいっっ!!もういい!罰としてストレッチ一時間!!しないと給料抜きだからなっ!」
「えー!?あんだよソレ!!」
怒って屋敷に帰るアルビトロの後を狗が必死に追う。
自室に戻って椅子に座るとイライラと爪を噛んだ。
「んもぅ!アイツらと来たら言う事を聞かないんだから!
……怒ったら小腹が空いたな…何かデザートを持って来てくれたまえ」
使用人が紅茶とチーズケーキを持っくると、アルビトロの前に綺麗に並べた。
「素晴らしい…!シェフ、いい仕事をしているな。もうひと皿お願いするよ」
「………」
美味しそうにケーキを平らげるアルビトロを狗が無言で見上げる。
「…何か言いたいことがあるのかね」
声帯のないのにも関わらずアルビトロがジト目で狗を睨んだ。
「………(こりゃ駄目だ)」
ーそのころの庭ー
「いだだだっ!重えんだよクソジジイ!!」
「うっせーなァ…」
背中合わせで体重をのせるキリヲの下でグンジが悲鳴を上げる。
「ぎゃー」
べしゃ、とついにキリヲの下敷きになってグンジが潰れた。
「いい天気だなァ…ふぁ〜」
キリヲは欠伸をすると、俯せに倒れているグンジの上に乗ったまま、再び眠りに付いた。
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