「………やっと…行った…か……」
アキラは処刑人の気配が消えるまでゴミ箱の暗闇の中、息を殺してじっと耐えていた。
酷い出血と体力の消耗により立ち上がることもできない。
誰か通り掛かったら…などと考えてもここがトシマだと考えるとそれも恐ろしい。
トシマについてから一度も連絡のないCFCの軍人達を怨んだ。
「……ここで…死ぬのは…嫌だ……」
しかしこのまま手当もせずにいては死んでしまう。
アキラは考えられる限りの人間に助けを求めるしかなかった。
「…リン……オッサン……
 ………………………ケイスケ」
そう呟いた途端、ゴミ箱の蓋が勢いよく開く。
ビクリと肩を震わせ、アキラがその蓋を開けた人物を見つめる。
「ケイスケ!!!」
それはこのトシマの中で唯一信じられる幼なじみだった。これで助かる、アキラは胸が高揚するのを感じた。
「アキラァ…酷い傷だなぁ…大丈夫?」
ケイスケは目を丸くして屈み込んでアキラを眺めている。
自分を探してくれていたのだろうか、かなり窶れた様子に一瞬ケイスケではないようにアキラは感じられた。
「大丈夫…とは言い難いな…悪い、手を貸してくれ」
手を伸ばすがケイスケはその場ですくりと立ち上がった。
「…ケイスケ?」
「俺さぁ…アキラがいなくなってすっごく心配だったんだよ…食事も喉を通らないしさぁ…それに胃がすごく痛くなって……」
空を見ながら独り言のようにケイスケは喋り続ける。
「俺にもっと力があれば…もっと強ければアキラを守れたのにってずぅーっと考えててさ、辛くて辛くて…」
「…………」
何か得体の知れない悪寒がアキラを襲う。
失血のせいではない、何か悍ましいものの気配がする。
「だから……自分を楽にしてやった……こいつを使って…」
ポケットから何かを取り出すと宙に翳す。
月光を受け光り輝くそれは………
「ラ…イ……ン…」
急速に意識が遠くなる。アキラはケイスケがそれを飲み干すのを見続けることが出来なかった。
地面に屈み込み激しく咳込みながら痙攣したかと思うと、ゆっくりとケイスケは立ち上がる。

「もっと俺を愉しませてから死んでくれる?…なあ、アキラァ!!!」









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